皺には種類があります

しわには種類があり、大きく分類すると2通りのしわがあります。

1:表情じわ・・表情が変化するときにできるしわ。筋肉を動かすことでできてしまいます。イライラした時や細かい文字を見るとき、笑った時など、何度も同じ表情を繰り返しているうちにくっきりと消えないしわになります。

2:たるみじわ・・顔の骨や脂肪が減少し、筋肉も衰え、さらに重力が加わることによって下垂してたるみが生じます。表情の変化とは関係なく深く刻まれるのがたるみじわです。法令線などのしわは、たるみじわになります。


もちろんこの二つの要因が互いに影響しあってしわが形成され、目立ってきます。原因によって治療法が異なりますが、二つの要因が絡むために、両方の治療を合わせて行うこともあります。


1:表情じわ・・・治療方法はボツリヌス治療です。 

表情しわに対する治療の主役はボツリヌス製剤の注射です。治療に使う薬はボツリヌス菌そのものではなくボツリヌス菌が産生する複合体毒素の中の、有用な高分子タンパク複合体です。我が国では眼瞼痙攣などの治療にも広く使用されていますが、美容分野では表情筋の収縮が原因である表情じわの治療に利用されています。効果の持続期間は部位や薬剤の量にもよりますが、おおむね3~4か月程度です。当院では厚生労働省の医療承認を得た唯一のボツリヌス毒素製剤であるボトックスビスタ�(アラガン社製)を使用しております。  

 

ボトックスビスタ🄬の作用機序:末梢の神経金接合部における神経終末内でのアセチルコリン放出抑制により、神経筋伝達を阻害し筋弛緩作用を示します。たとえば眉間のしわの場合、眉間のしわの原因となる皺眉筋および鼻根筋の筋肉にボトックスビスタ�を注射することで、期間限定で筋肉は常にリラックスした状態(筋肉が伸びきった状態)になります。これにより、眉間の筋肉を収縮させようとしても、その信号が伝わらないために、眉間のしわはできにくくなります。ただし、その効果は注射の作用が効いている間なので、おおむね3~4か月となります。

 

当院美人ナースMちゃんが自ら被験者になり掲載を許可していただきました。眉間とおでこにボトックスを注射しております。

 

ボトックス前

 

 

ボトックス後

2:たるみじわ・・・治療方法は注入療法です

たるみによるしわは皮膚だけの問題ではありません。顔の骨・筋肉・脂肪などが年齢とともにボリュームダウンして、さらに重力の影響でそれらが下垂してくることが原因です。  たるみしわには、ヒアルロン酸などの注入剤でシワの溝をうめたり、少なくなった骨や脂肪や筋肉のボリュームを補ったり、組織が下垂して伸びきった靭帯(骨から皮膚までの連続した組織を支える橋脚のような役割)を下支えするために靭帯の下に注入することで組織を持ち上げます。

法令線が気になるから・・といって、法令線に注射するわけではなく(もちろん一部は法令線の皮下に注射することもあります)、下垂した組織を持ち上げるように、効果的な部位に注射することで、顔全体の印象が若返るように、不自然なふくらみを感じさせずに、ナチュラルにしわを目立たなくすることが可能です。

ヒアルロン酸にはいろんな種類があり、組織となじみがよいもの、吸収されにくいもの、しっかりボリュームを補充するもの、皮膚表層を滑らかにするもの・・などそれぞれの製剤によって用途も違ってきます。気になる部位と症状に合わせてヒアルロン酸製剤を選んでいきます。

 

一度治療を始めると、ずっと続けないといけないのでしょうか?と質問されることがありますが、その後の治療を継続するかどうかはご本人次第です。治療をうけても時間が経過すれば、徐々に効果が薄れて治療前の状態に戻っていきます。注入剤そのものが徐々に吸収されていきますが、骨や筋肉や脂肪も年齢を経るにつれてさらに痩せていきます。とくに骨の吸収は顔貌の老化に非常に影響します。治療を継続しないからしわが進行するのではなく、加齢にともなう様々な組織の変化で老化は進行します。ボトックスやヒアルロン酸の治療は、老化の進行を少し遅らせることはできますが、その治療によって老化を加速させることはありません。

初回治療のあとも、時々注入を行うことで、たるみを軽減させ組織のボリュームを維持することができ、結果的に若々しい印象を保つことが可能となります。


2021年06月21日