しみのおはなし その③

【老人性いぼ(脂漏性角化症)の治療】

しみが盛り上がったようなものを脂漏性角化症と言います。表面は凸凹があり、色調はうすい褐色のものからかなり黒いものまでさまざまです。サイズもごく小さいものから2cmを超えるものまであります。年齢とともに増えてきますが、体質(肌質)にもかなり影響されます。顔・頸・体などあらゆる部位にできます。良性のものですが、頸や顔にこれらが出来た場合は美容上気にされる方が多いのも現状です。
脂漏性角化症には炭酸ガスレーザーを用いて治療をしていきます。
炭酸ガスレーザーとは中赤外線領域の10600nmに波長をもつレーザーで、皮膚の色に関係なく、水分のあるところによく吸収されます。つまり人体はほとんど水分なので、どこでも反応します。このレーザーが当たると、熱エネルギーに転換され、蒸散・凝固壊死という形で組織を無差別に破壊していきます。この特性を利用して、各種の皮膚腫瘍の治療などに利用されています。またこのレーザーは小神経終末やリンパ管・末梢血管に対するシーリング効果があり、このため施術後の浮腫や疼痛が少なく、止血効果も兼ね備えています。当院では最新鋭のフラクショナルタイプの炭酸ガスレーザーを導入しております。従来の炭酸ガスレーザーにくらべて、より速く綺麗に削ることが可能です。また当院では、より美しい仕上がりになるよう、全てのフラクショナル炭酸ガスレーザーの処置を顕微鏡下で行っております。
レーザーの処置後は、皮膚の表層が削られ擦り傷のような状態のため、ご自身で処置部に1週間程度の軟膏塗布をお願いしております。洗顔や入浴は当日から可能ですが、患部はゴシゴシ擦らず水がかかる程度にとどめておいてください。場合によっては創傷被覆材を使用することもあります。この場合は特に自宅でのケアは不要です。
日光角化症(前癌病変のひとつ)や悪性腫瘍などを疑う場合には、皮膚生検や病理組織検査にて診断を確定してから治療方法を選択していきます。

 

2020年01月01日